いくえみ綾先生の漫画「あなたのことはそれほど」。
学生時代に占い師に言われた「二番目に好きな人と結婚するのがいい」という予言どおり、大人になって「いい人だけど恋はしていない」男性と結婚した美都。
そして「一番目に好きだった」学生時代の初恋の人・有島に再会したせいで、底なしの泥沼不倫に落ち込んでいく、というドロドロのお話です。
ドラマでご覧になったひとも「原作」が気になると思いますので、こちらでは1巻のネタバレをご案内します。
1巻では、登場人物となる美都、美都の夫・涼太、有島の妻・麗華、有島の順に、それぞれの視点から話が構成されています。
「あなたのことはそれほど」1巻のネタバレ
三好美都が初恋の人と再会しハマる泥沼
美都は小中学生のころに初恋の人だった有島と、三十路近くになってから偶然再会した。
あの頃の気持ちを思い出し、盛り上がって関係をもつふたり。
しかし美都には夫の涼太がいた。
夫の涼太は子熊みたいな男性で、料理も上手で「すごくいい人。二番目に好きな人」。「優しいいい人」の夫は、美都の適当な言い訳を信じて疑わない。
有島も既婚者で妻には子供が生まれたばかり。
ずっとずっと好きだった「一番」の人を逃したくない美都は、お互いにパートナーがいてもいいから、と夫に隠れて有島と逢う日々を続けた。
渡辺涼太が妻の浮気を疑うまで
渡辺涼太が美都に一目惚れしたのは、ものもらいで眼科に通っていたときに受付の美都に出会ったときだった。
物腰柔らかで笑顔の素敵な彼女。思い切ってお茶に誘い、得意の手料理を披露しているうちにあっという間に結婚。
幸せだ、と思っていた。
美都が聞いたこともない甘い声で「有島くぅん」という寝言を聞くまでは。そして、その名前が美都の携帯に出て来るまでは。
美都の親友・香子にさりげなく、美都に浮気の気配がないか探りを入れたり、こっそり携帯を盗み見ていた涼太。
美都の前では笑顔で「何も知らない、気づいていない」夫を演じていたが、胸から疑惑がどんどん芽生えてくる。
面倒見がいい長女・戸川麗華
戸川麗華は地味顔の学級委員長で、学生時代から「しっかり者の長女」で損な役回りをすることが多いタイプ。
父親は借金を残して出ていき、時折ふらりとやってきて生活をかき乱す。
貧乏なので、ずっとバイト生活をしていた麗華はある日、店でクラスメイトの有島と会ってしまった。
チャラチャラした、自分とは縁のない世界の人。そう思っていたのに、彼が「麗華」という名前負けしてコンプレックスを感じていた名を呼んで、心臓が跳ねた。
ふらりと一人で焼肉屋に通うようになった有島とつきあい、結婚に至って子供もできた今、麗華は妻として充実した生活をしていた。
有島光軌の年貢の納め時
有島は大学でかわいい女子からモテていて、美苗という子からしつこくアプローチされていた。
見るからにかわいらしい美苗に、まんざらでもない有島だったが、彼女をフッてしまう。
麗華がケガをした、と連絡を聞いてデート中にすっとんでいく有島。
有島が「本気」になれるのは、地味でこれと言って目立つことのない麗華のためだけだったからだ。
「あなたのことはそれほど」1巻の感想
大人になるほどに、誰かを好きになることの不確かさや正しさがわからなくなっていく。
そんな気持ちにさせる漫画でした。
美都には、美男子ではないけれども夫として文句なしな「いい人」な涼太という夫がおり、彼のことは好きだけど「二番目」。
中学生のときに大好きだった有島と出会い、何の罪悪感もなく彼の胸に飛び込んでしまうお花畑頭?に倫理観の高い女性なら「何この女」と憤慨するでしょう。
けれども、男女の善悪ってもともと難しいものがありますよね。所詮は当事者同士で納得しあっていればそれで、という気もするし。
恋愛と結婚はべつ、と考えると恋愛で一番ほしいのは有島で、結婚相手としては涼太が美都にとって最適な相手。
なまじ、美都が夫のことを普通に好きで不幸にしようと思っていない(それほど関心がないとも言える)からこそ、怖さがあります。
美都の友人である香子は、美都のあまりの自己中で夫をないがしろにしている態度に呆れ果て離れていきますが、美都にとっては香子の説教なんて「余計なお世話」でしかない。
ある意味「本能」でしか生きていない女性です。
「もうすぐ三十路で、運命を夢見る乙女」と言っている女性ですから・・・2巻へつづきます。
2巻のネタバレ