いくえみ綾先生の漫画「あなたのことはそれほど」2巻のネタバレと感想です。
既婚4人の男女が織りなす、泥沼のお話。美都はますます有島との関係に夢中になっていく一方で、妻の不貞を知りつつも「愛は変わらない」と息苦しいほどの重さで美都を愛する涼太。
そして「暗黙のルール」を破り、有島の妻・麗華に接触しようとする美都のせいで、とうとう有島もブチキレで・・・
「あなたのことはそれほど」2巻のネタバレ
父親になった有島
麗華が娘・亜胡を産み、「父親」になったばかりの有島。
ふと、美都に娘の写真を見せたときに「他人の子供なんて、ちっともかわいくない」と正直すぎる感想を聞かせてくれたことを思い出す。
夫に嘘をつき続ける美都
美都の機嫌は、有島に会えるか会えないかで決まっていた。
夫にはそのたびに「適当な嘘」でごまかしていて、温泉旅行に行ったときには「友達の香子と一緒」だと嘘をついて香子にも嫌な顔をされた。
「あんた、いつか罰が当たるよ」と。
そのとおりにバチが当たったのか、有島の娘のウイルスが移って体調を崩す。
涼太は美都を疑う素振りを見せなかったが、まるですべてを知られているような、どこか引っかかりを感じるようになる。
結婚1周年記念で重い愛の告白
結婚1周年&誕生日祝いで、ふたりでレストランで食事する涼太と美都。
だが、涼太は涼太は美都に突然、自分が「何かも知っている」ことを打ち明けた。携帯をこっそり覗き見していたと・・・
それでもすべて知った上で『君を変わらずに愛し続ける。これが僕のプレゼント』と、美都をずっとどんなことがあっても愛すると言う涼太。
怒らず、冷静すぎる夫に、かえって美都は不気味なものを感じる。
「永遠の愛」は、美都にとって重すぎた。
ルールを破って有島の妻に接触する美都
夫に浮気がバレたことで取り乱した美都は、「陶芸教室での借り物」を返すという名目で有島の家を訪ねた。
何食わぬ顔で「昔の中学時代の同級生」だと、妻・麗華に挨拶した美都。
察しがいい麗華は、ただならぬ気配を見抜く。
有島はこのことに激怒して「ルール違反だ!」と美都を責め、「しばらく会わない」「もう終わろう」と言い放つ。
「あなたのことはそれほど」2巻の感想
ドラマチックな出来事は起こらない、定番の不倫展開なのに、なぜかゾクゾクとくる怖さがあるお話。
「優しいいい人」の人畜無害な夫だった涼太は、妻の不貞を知りつつも泳がせたあとで「自分は浮気を知っている」と告げ、そのうえで美都を絶対に手放さない・・・「永遠の愛」という名の鎖で縛ろうとします。
張り付いたような笑顔がむしろコワイ。
一方、美都は美都で、夫にバレたからと言ってさほど悪びれず、いかにして有島をつなぎとめようかとそれだけを考えている。
この人も違う意味でだいぶ怖いです。人として、ズレているっていうか。
今回、美都が打った手は「悪手」で、有島が絶対に踏み込まれたくないテリトリーである「家庭」に踏み込み、麗華に接触したことです。
麗華は女学生だったころから洞察力の高い、落ち着いた女性で、ひと目見て「美都が何者なのか」察します。
「変な人だねー」と穏やかにやんわりと夫に言いつつ、「裏で何をやっているかわかっているぞ」という無言の脅しが効いています。
この漫画で一番まともな人は麗華で、妻として非常に賢く立ち回っています。夫が外で浮気をしている気配があっても、それをギャンギャン騒ぎ立てず余裕の笑みでじわじわと、真綿で首を締めるように外堀を埋めていく。
女性の目から見ても、夫の操縦術がうまいなあ、と思えます。下手に責めると男性ってふてくされますから、とりあえず泳がしておいて(笑)自然に自分のところに戻ってくるように仕向ける、というか。
実際、有島にとっての美都は「趣味」でしかなく、人生をともにするパートナーとして見てはいません。
有島が常に一番気にかけるのは麗華で、普段はチャラい浮気性の有島が最後の最後に選ぶ存在です。
あと、気の毒なのは美都の友人・香子。美都に利用され、浮気をするためのダシにされ、あまりの美都の自己中っぷりに「あんたありえない」と絶交してしまいました。
初恋の人、という理由だけで有島に執着し続ける美都は、さらに開き直って有島を追いかけます。
つぎ5巻のネタバレ